| 研究内容: 以下の2つの課題を柱に、実験家との緊密な議論を交えながら研究を進めます。   [1] 量子スピン液体の物理の解明と深化  量子スピン液体には、対称性や励起構造などの違いに応じてさまざまなタイプが考えられるが、それぞれがどういった系で実現し、どのような性質を示すかは明らかにはなっていません。スピンの分数化というコンセプトをベースにした大規模な数値シミュレーションを軸とした研究を展開し、様々な新しい量子スピン液体やそれらにまつわる相転移現象の探索を行って、量子スピン液体の理論体系の構築を目指します。  
   [2] 量子スピン液体の実験的検証へ向けた理論提案  現在、イリジウム酸化物やルテニウム化合物を中心に、キタエフ型の量子スピン液体の実験的な探索が世界的に行われています。そこで鍵となるのは、従来の磁気秩序の不在証明とは一線を画す、スピンの分数励起の実験的検証です。量子スピン液体への有限温度相転移やクロスオーバー、特徴的な量子臨界現象、磁気秩序温度以上の常磁性領域でのフェルミオン励起といった実験検証可能な理論提案を行っていきます。 
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